Philosophy​

工事技献の仕事観

“当たり前の積み重ねが、品質になる”

― 現場総監督が語る、仕事への向き合い方 ―

株式会社工事技献 副社長 工事長 上原 博光

株式会社工事技献 副社長 工事長

上原 博光

建築業界歴40年。施工に携わったプロジェクトは300件を超える。官公庁施設から民間建築まで幅広く経験を積み、木造・鉄骨造・RC造のすべてに精通。2022年より株式会社結(現 株式会社工事技献)に参画。以来、現場全体の統括責任者として指揮を執る。
「当たり前の積み重ねが、品質になる。」をモットーに、すべての工程に細やかな目を配りながら、品質・工程・コスト・安全の“4軸管理”を一貫して実行。設計の意図を正確に汲み取りながら、施主と職人の両者にとってベストな現場環境を整え、現場の調整力・管理力に定評がある。

現場を動かす“司令塔”
段取りと調整が現場監督の仕事。

現場監督は、納期・予算・安全・品質を守りながら、設計図を形にしていく現場全体のマネジメント役です。基本的には自ら作業に加わることはなく、職人への指示や全体の進行管理などを行います。
そのため現場では、丁寧なコミュニケーションや、先を見越した段取り力が欠かせません。私たちは、関わるすべての人が気持ちよく働ける現場づくりを大切にし、工事が「人の手でつくるもの」であることを忘れずに、日々現場と向き合っています。

見えない課題に気づく力。
──現場で試される“プロの視点”

設計図面をもとに工事を進めるのは当然のことですが、私たちはその一歩先を見据えています。現場監督には、図面を読み解くだけでなく、施工の流れ全体を先回りして捉える先見性や、問題点に事前に気づく構想力が求められます。
ある案件では、地域特性として水位が高いエリアであることを事前に把握していたため、基礎工法を見直す判断を早期に実施。設計士とも連携し、防水計画を含めた施工内容の最適化を図りました。
こうした柔軟な判断と調整は、設計意図を理解したうえで、現場で起こりうる課題を想定・回避するためのものです。設計と施工の橋渡しとして、私たちは常に「どう納めるのが最適か」を考え、完成度の高い現場をつくり上げています。

工事技献の仕事観 当たり前の積み重ねが品質になる
工事技献の仕事観 見えない課題に気づく

その“当たり前”を、
誰よりも丁寧に。

工事とは、図面に沿うだけの作業ではありません。完成度の違いは、“当たり前”のことをどれだけ丁寧に積み重ねられるかで決まります。
たとえば、現場の美しさ。私たちは毎朝、現場前の通りまで掃き掃除を欠かしません。それは近隣への配慮であると同時に、現場全体の意識を整えるための習慣でもあります。
また、モルタル仕上げひとつをとっても、図面には書かれていない下地処理を丁寧に行うかどうかで、10年後の見た目にまで大きな差が出てきます。完成直後だけでなく年月を経るごとに質感の違いとして現れるからこそ、塗る前の段階からすでに“仕上げ”は始まっていると、私たちは考えています。
こうした細部への意識こそが、完成時の品質を底上げし、信頼へとつながっていくと信じて、今日も“当たり前”を、誰よりも丁寧に積み重ねています。

工事技献の仕事観 細部への意識が品質を底上げ
鉄筋検査
工事技献の仕事観 細部への意識が品質を底上げ

いい現場は
「人間関係」から。

施工を円滑に進めるうえで欠かせないのは、関わる人すべてとの信頼関係です。職人が仕事に集中できる環境を整え、設計者と密に連携して施工図を作成し、発注者からの要望にも柔軟に応える──そうした積み重ねが、質の高い現場づくりを支えています。
私たちが特に大切にしているのは、「目線を同じにする」こと。現場では立場や専門分野が違うからこそ、目線のズレがコミュニケーションエラーにつながります。だからこそ、常に会話することを心がけ、全員が同じ方向を向いて進めるように努めています。
また、職人さん同士の作業が重なる場面では、現場監督が間に入り、スムーズに動けるよう“現場の交通整理”を行うことも重要な役割です。
現場はチームでつくるもの。図面通りに施工を進めるだけではなく、「人と人との関係性」が工事の質と信頼を決めると、私たちは考えています。

工事技献の強み 品質
工事技献の仕事観 いい現場は人間関係から
工事技献の仕事観 いい現場は人間関係から

変えていく力、
つないでいく力。

この業界で40年、数多くの現場を経験してきましたが、工事技献には「現場をもっと良くするにはどうするか」「どうすれば良いものを適正価格で届けられるか」という視点が全社に根づいています。若い会社だからこその柔軟さと行動力で、現場を前進させる取り組みが実行されています。

たとえば、積算を効率良く行うためのデーターベースがあり、業務の無駄を省く工夫がされています。また、建設DXを導入によって、現場写真や工程情報をリアルタイムで共有できる体制が整い、監督や職人が本来の仕事に集中できる環境づくりが進んでいます。こうした改善を、経営トップが先頭に立って進めていることも、非常に心強く感じています。

一方で、現場の本質は今も昔も変わりません。段取りの工夫、小さな判断の積み重ね──そうした“勘どころ”こそが、現場の質を左右する重要な要素です。だからこそ、自分がこれまで培ってきた経験や考え方を、次の世代にしっかりと伝えていきたい。人が育ってこそ、いい現場が生まれる。それを丁寧につないでいこうと思います。

工事技献の仕事観 変えていく力 つないでいく力
現場監督チームのメンバー
株式会社 工事技献 副社長 工事長/上原博光(中央)
現場所長/上原颯太(左)・現場監督/諸澤喜宏(右)
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